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2025.01.21
イベントレポート
プロから学ぶ!ECビジネスの可能性〜成功する戦略とは?〜を開催しました
2024年12月3日、プロから学ぶ!ECビジネスの可能性〜成功する戦略とは?〜を、江戸川区船堀にある「タワーホール船堀」にて開催しました。
講師は、大手ECモール「Yahoo!ショッピング」の企画・運営に20年間携わってきた、福森太一朗氏です。
近年、インターネットやスマートフォンの普及により拡大を続けている通販市場。この時代を生き抜くために必要なECビジネスの基本概念や、ネットショップを使った事業戦略の考え方を教えていただきました。
今回は、そのセミナー内容から重要ポイントを抜粋してお伝えします。

【講師】
福森太一朗
2004年ヤフー株式会社(現LINEヤフー)に入社。Yahoo!ショッピング出店セミナーや講習会講師、運営に携わる。また、売上アップのためのコンサルティング業務の企画・制作を担当。2024年6月に同社退社後もEC関連事業に従事している。「おもしろいセミナー」をモットーに、ユーモアを交えて語るその語り口で講師満足度は98%。
ECビジネスとは
拡大するECビジネス
日本のEC市場の経年推移をみていくと、2014年には売上12.7兆円から23年には24兆8435億円へと、10年で約2.5倍の規模に拡大しています。国内での消費拡大がない状況でもECは伸び続けており、購買活動は実店舗からECへ移行していることがわかります。

日本全体のEC化率(EC経由で商取引された割合)は現在9.38%ですが、米国では約14%、中国では44%となっており、日本もまだまだこれからECへの移行が進むことが予想されます。
また、国内での分野別EC化率は、最も高い順に本・映像53%、家電・PC43%、雑貨・家具32%などとなっています。
3大ECモール「Amazon」「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」
ECのプラットフォームには、ECモール、TVショッピングのネット版、オークションなどの個人間取引(CtoC)、ファッションやギフトなどの特化型モールといったものがあります。
セミナーでは、日本の3大モールといわれている「Amazon」「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」に着目しました。
ECモールは大きく2つに分類できます。下記を踏まえ、3大モールを比較します。
・マーケットプレイス型・・・各企業がECプラットフォームに商品を出品する
・テナント型・・・各企業がECプラットフォームに店舗を出店する

・Amazon:マーケットプレイス型
「出店」ではなく「出品」となるため、出品者は倉庫に商品を送るだけです。
フルフィルメント(受注、梱包、配送まで一貫してお任せ)なので、手間がかからず、比較的気軽に参入することができます。
ただし、自分のお店ではないため、個性を出して差別化するといったことは困難です。
・楽天市場:テナント型
複雑な審査があるため参入のハードルが高く、初期費用やランニングコストも比較的高額です。
プラットフォームとしての知名度が高く、非常に手厚いサポートを受けることができるというメリットがあります。
・Yahoo!ショッピング:テナント型
初期費用がかからず、参入障壁もそれほど高くないです。
ただし、設定から配送まで出店者が自ら行うため、手間がかかります。
出店数が多いため、競争率は高いとされています。
また、3大モール以外に、フリマアプリ「メルカリ」、ネットショップ構築サービス「BASE」もおすすめプラットフォームとして挙げられました。

EC初心者におすすめなのは、「Amazon」と「メルカリ」
特にEC初心者におすすめのサービスは、手軽に始められるという点で、「Amazon」と「メルカリ」とのことでした。
ただ福森氏は、「Yahoo!ショッピング」にはモールとしての伸び代があり、検討に値するとも言います。
初期費用がかからないこと、アクティブな店舗は限られていて競争率も比較的高くないこと、PayPayポイントとの連携などがその理由です。
ECビジネスで売るためのコツ
必勝法は、「検索結果の上位に表示されること」
ECビジネスで売るためのたった1つのコツは、「検索結果の上位に表示されること」だと福森氏は力説します。
「いくらいい商品を持っていても、お客様の目に触れなければ売れません。
逆に、商品が検索上位に表示されれば、絶対に売れます。理由は、ものすごく多くの人がそのページを見に来るからです。
検索上位を目指すことだけを考えてECモールを運営していくこと。これを守るだけで売上が上がるようになります」。
ある調査報告によると、検索結果の1ページ目から購入される率は50%以上となっており、ほとんどの人は1ページ目に表示されたものから購入を決定しています。
「Yahoo!ショッピング」のトップページからの流入経路も「検索」が55%、「カテゴリー」が23%となっています。

結論として、「検索結果上位者がECビジネスを制する」と言えるのです。
表示順位は、検索エンジンのアルゴリズムによって決定
検索上位に表示されるには、Googleなどの検索エンジンのアルゴリズム(検索結果のランキングを決める際に用いるロジックやプログラム)への対策をすることが必要です。
検索エンジンは、適切な商品名や説明文が入っているか、お客様の探しているものについての適切なページになっているかを、「専門性」「経験」「信頼性」「権威性」といった独自の基準で判断しています。
とはいえ、難しく考えることはなく、「丁寧なページ作り」を心がけることが大切です。

セミナー内では、参加者の皆さんに指定の商品をWeb上で検索してもらい、入力するキーワードによって表示される商品の違いを体感してもらいました。

上図の通り、とあるキャラクター名が1つ抜けるだけで、表示される商品がぐっと狭まります。
適切なキーワードを入れた商品名やページづくりをすることが検索上位への表示をねらう上で重要だということです。
<検索結果を上げるためのアドバイス>
・商品名がとても重要
・ユーザーが探しやすく、見つけやすい商品名をつける
・ユーザーがよく使った「関連検索ワード」を確認して商品名に入れる
・検索結果上位の競合他社の商品名を見て参考にする
スマホ・PCアクティブなユーザーの実態
現状のデータで見ると、スマートフォンからネットアクセスしている人が圧倒的に多いのですが、EC利用手段についてはPCが77%と、PCによるところも未だに大きな割合になっています。
だたし、特に若年層や女性では、スマホで閲覧から購入の流れを完結している割合が高いため、スマホでも適切に商品情報が表示されているのかを確認することはマストです。
ECビジネスの戦略の立て方
ECビジネスの方程式は、「売上=訪問者数×購入率×客単価」
ECで物を売るための方程式は、「売上=訪問者数×購入率×客単価」です。
お店に何人が訪れて、そのうち何人が買い物をしてくれて、その平均単価がいくらだったか、これがEC戦略の基本になります。
売上がうまく上がらない場合は、3つそれぞれについて何が足りないのか、対策することが必要になります。
戦略1. 訪問者数を上げる
商品ページはきちんと丁寧に作っているのに売上が上がらないという場合は、「集客」、すなわち訪問者数を上げることに力を入れる必要があります。

集客については、まずはSEO対策です。検索エンジンに対しての対策をすること、つまり検索上位に表示させるための努力をしましょう。
また、今やSNS活用は欠かすことができません。たとえば、InstagramやX、YouTubeなどで商品制作の裏側などを紹介して商品ページへ誘導する。そういった宣伝活動も大事になります。
手っ取り早く簡単な方法としては、広告の活用があります。
インターネット広告は多種ありますが、「検索上位に表示させたり、ピンポイントでターゲットにリーチさせたりするために、広告も必須の武器」と福森氏は言います。
戦略2:購入率を上げる
ユーザーが商品ページまで来てくれたのに、なかなか購入に至らないという場合には、商品ページに魅力がない可能性があります。
福森氏は、「商品のスペックを詳しく記載するだけでなく、この商品を購入するとどんな生活になるのか、ユーザーのベネフィット(利益)をアピールするのが最近の流れ」とも話しました。
- 商品ページの改善:見やすさ、使いやすさの向上
- 商品への情報量を増やす:ユーザーのベネフィットをアピールする商品紹介
- 商品決済の手段を充実させる:「送料無料」は意外と効果的
- 特典やキャンペーン企画を実施する:期限付きのクーポン発行など
- 口コミやレビューで信頼を確立する:レビュー数、点数の多さは有利
戦略3:客単価を上げる
購入数、購入金額を上げる提案をすることも検討しましょう。
スーパーの実店舗のように、「お肉コーナーに焼き肉のたれを一緒に置く」といったことをネットでも実施したり、複数の企業やサービスを横断して使えるユーザーのポイント経済圏を意識して「お財布をおさえる」といったことも考慮したいところです。
また、「もう少し買えば送料無料」というやり方は、かなり効果が期待できるということでした。
<客単価アップの施策法>
- 提案型のセット商品を用意する:関連商品を一緒に表示する
- キャッシュレス決済を導入する:ユーザーのポイント経済圏を意識する
- 送料無料ラインの設定:「○○円以上送料無料」は効果あり
- 高単価商品を用意する(アップセル)
- 関連商品でついで買いを促す(クロスセル)
ECのキーポイントは「送料無料」
データによると、「93%の消費者は、割引よりも送料無料を好む」とされています。
「ユーザーはカートに商品を足してでも、送料無料の特典を得ようと全力を尽くす」とも言われ、「送料無料」はむしろ購入動機にもなるほどのキーポイントだというお話がありました。
まとめ:今回のセミナーのポイント
・消費者の購買活動は、実店舗からECへシフトしている
・EC初心者におすすめのプラットフォームは「Amazon」または「メルカリ」。「Yahoo!ショッピング」も検討の価値あり
・ECビジネスで売上を上げるコツは、「検索上位に表示されること」
・SEO対策は難しく考えず、まずは丁寧なページ作りをすること
・EC戦略は「訪問者数」「購入率」「客単価」の3つ
・EC戦略のキーポイントは、「送料無料」の設定

質疑応答の時間では、会場から熱心な質問があり、具体的な運営の悩みから海外での展開方法まで、福森氏からアドバイスをもらったり励ましを受けたりしていました。
交流会
セミナー後は、交流会を実施しました。はじめに2名1組のペアになって「スピード自己紹介」を行いました。

自身の事業内容や最近ECで購入した物をお互いに紹介することで、リラックスした雰囲気に。
その後は参加者同士で自由交流を行い、ECサイトを既に運用されている方がECサイトの導入を検討している参加者の相談に乗っている場面もありました。
参加者からの感想
参加者からは、
「ECを運営する上での知識が身についた。シリーズ化していただいてもっと学びたい」
「実践的でわかりやすいセミナーでした!」
という嬉しい声もありました。
最後は参加者でEDONOWAの「輪」のポーズで記念撮影をし、終了しました。

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