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2024.10.25

イベントレポート

~アイデアを事業にする設計図~「ビジネスモデル」を考える基礎セミナーを開催しました

2024年9月12日(木)、~アイデアを“事業”にする設計図~「ビジネスモデル」を考える基礎セミナーを江戸川区葛西にある「葛西区民館」にて開催しました。

今回は、マーケティングの知識やコンサルティングの豊富な実績をもつ宇津木聡子氏を講師にお迎えし、「ビジネスモデルを構築するための基本的な考え方とフレームワーク」について講義いただきました。

参加者は、これから起業を考えている方や、既にビジネスを展開している方々、さらにビジネスモデルの理解を深めたいと考える多岐にわたる層が集まりました。セミナーのなかで自分のビジネスアイデアを形にする実践ワークを行い、具体的なアクションプランへと落とし込む機会を得ました。

今回はセミナーのポイントをまとめてご紹介します。

【 講師 】
株式会社スターグレイン
代表取締役 宇津木 聡子 氏

大学卒業後、広告会社勤務を経て、ウォルト・ディズニー・ジャパン、NHN(現LINE株式会社)にて、マーケティング、事業開発の職務に携わったのち独立し、株式会社スターグレインを設立。企業へのマーケティングや広報に関するコンサルティング活動を行っている。また「食・住まい・ライフスタイル」を軸としたイベントやコンテンツの企画プロデュース、店舗・売場・展示会等の企画支援なども提供している。創業・経営支援領域では、2017年よりStartup Hub Tokyoの起業コンシェルジュを務めるほか、起業家支援プログラムのメンターやセミナー講師、自治体の事業支援施設におけるアドバイザーとしても活動。

ビジネスモデルとは「事業の設計図」

ビジネスモデルの基本は、事業の構成要素「何を、どのように実現して、誰に、どのように提供し、どのように収益を生み出すか」を明確にしたものです。

  1. 何を(What):商品やサービスの内容、顧客にとっての価値
  2. どのように実現するか(How):商品・サービスの調達・製造・構築方法
  3. 誰に(Who):ターゲットとする顧客層とそのニーズ
  4. どのように提供するか(How):商品やサービスを顧客に届けるためのチャネルや方法
  5. いかに収益を生み出すか(Why):顧客がどのような理由でお金を支払い、利益が生まれるのか


これらの要素を、具体的かつ現実的にまとめた設計図が「ビジネスモデル」です。

ビジネスモデルを明確にする意義

なぜビジネスモデルは大切なのか?
宇津木氏は、ビジネスモデルを明確にするメリットを以下の通り述べました。

・事業を俯瞰的、客観的に理解できること
・内部および外部の関係者と明確な共有を図れること
・事業の課題やリスクを発見しやすくなること
・時間経過や事業の発展に応じて、原点として立ち返れること

ビジネスモデルに必要な要素:4つの基本要素 3W1H

ビジネスモデルを整理するうえでは、以下の3W1Hの要素が重要です。

  1. Who(誰に):ターゲットとする顧客層
  2. What(何を):提供する商品やサービスの内容
  3. How(どのように):提供方法やチャネル、プロセス
  4. Why(なぜ収益に結びつくのか):提供価値と収益の関連性

これらを明確にすることで、顧客に価値を届ける仕組みを構築し、その仕組みがどのように収益に結びつくかを考えることができます。

ビジネスモデルキャンバスの活用

ビジネスモデルを可視化し、整理するためのツールとして「ビジネスモデルキャンバス」を紹介いただきました。
このツールを用いることで、複雑な事業構造を簡潔にまとめることができます。

ビジネスモデルキャンバスの9つの要素

ビジネスモデルキャンバスは、大きく9つの要素で構成されています。
各要素を考える際に「顧客の視点から始めること」がビジネスの成功の鍵であると宇津木氏は述べました。

セミナーでは、その足がかりとなる「顧客セグメント」「価値提案」の2つの要素に着目しました。

①顧客セグメント:具体的な顧客像
②価値提案:サービスや商品の概略、顧客にとっての価値
③収益の流れ:収益を生むプロセス
④チャネル:顧客に届けるための認知、購入、提供、アフターケアなどのチャネル
⑤顧客との関係:顧客との長期的な関係を作るための方法
⑥主要活動:商品・サービスとその価値の提供を実現・継続するための重要活動
⑦キーリソース: ②・⑥の実現、継続に必要なリソース
⑧キーパートナー :②・⑥の実現、継続に必要な外部パートナー
⑨コスト構造:事業を実現・運営していくのに発生するすべてのコスト

【顧客に提供すべき価値の設計】バリュープロポジションキャンバス(VPC)の活用

抱える課題を含めた具体的な顧客像を理解し、適切な価値の提案を実現するために、バリュープロポジションキャンバス(Value Proposition Canvas)を用いて、顧客に対してどのような価値を提案すべきかを整理します。

バリュープロポジションキャンバスは、顧客理解を深め、それに対してどのような価値を提供できるかを顧客視点で考えていくフレームワークです。

顧客の課題を構成する要素

まずは3つのアプローチで顧客の課題を考察します。

ジョブ(顧客のニーズ)

顧客がある特定の状況で成し遂げたいことを「ジョブ」と定義します。

ジョブには機能的、感情的、社会的の3つの種類が存在し、
ジョブの種類が違えば、提供価値やそのサービス・商品をいくらで提供するのかといった値段設定も変わります。
そのため、自身のビジネスを設計にしていくにあたりジョブ設定が極めて重要となると宇津木氏は言います。

例)英会話におけるジョブ
①海外旅行で現地の人と会話したい(感情的ジョブ)
②英語ミーティングで自信をもって発言したい(社会的ジョブ)
※ジョブが違えば、その人が抱える困りごとの内容も大きく違ってきます。

ジョブ設定をした後は、ジョブにまつわる2つの視点からさらに顧客理解を深めていきます。

ペイン(顧客の悩み)

ジョブを達成する際に直面する悩みや不満。ペインまでの深堀り・切実度合い
なぜその価値を提供しなければいけないのか?に深く関わっています。

ゲイン(顧客にとってのベネフィット)

ジョブが実現するとどうなるか
顧客がジョブを達成した際に得られる利益や満足感。
必要不可欠で具体性があることが理想とされます。

顧客に提供する価値(サービス・商品)の検討

次に、前述で設定した顧客の課題に適した提供サービス・商品を検討していきます。
下記のステップに沿って考え、最終的な価値を提案します。

【1. Pain Relievers(ペインリリーバー)】顧客の「ペイン(課題や悩み)」をどう取り除くか?

顧客が日常やビジネスにおいて直面している悩みや障害、課題を洗い出し、その「痛み」をどのように解消するかを以下のステップで考えます。

  • ペインの原因の深堀:

顧客が解決したいと感じている不便や不満は何か?
それらはどの程度深刻で、どんな状況で発生するのか?

  • 解決方法の具体化:

提供する商品やサービスが、顧客のどのペインに対してどのように効果を発揮するかを具体化します。
ペインを軽減・除去する要素や仕組みを設計し、その効果をどのように測定するかも検討します。

【2. Gain Creators(ゲインクリエイター)】顧客にとってベネフィットをもたらすものは何か?

「ゲインクリエイター」は、顧客が求める結果や価値を提供し、期待を超える成果をもたらす要素です。
下記のステップで明確にしていきます。

  • ゲインの背景を深掘り:

顧客はなぜその利益を求めるのか?
背景にはどのような動機や欲求があるのか?
このとき、顧客の「期待される利益」だけでなく、得られる「感情的な満足感」や「社会的な承認」も考慮します。

  • 顧客が望むことを生み出す仕組み:

顧客の望む成果や結果を生み出すために提供すべきことはなにか?提供できる強みはなにか?

【3. Products/Services(商品・サービス)】顧客に提案したい具体的なソリューション

上記の「ペインリリーバー」と「ゲインクリエイター」を考察し、顧客に提供していく価値を設計します。
これが、最終的に商品・サービスとして形作られる提案内容となります。

  • 価値の方向性を設定:

顧客にとって、商品・サービスがどのような役割を果たし、どのようにニーズを満たすのかを明確にします。
細かな機能やスペックではなく、顧客に伝えたい本質的な価値を特定することが重要です。

フレームワーク活用において大切なポイント

1. 顧客の課題を起点に、徹底的に顧客の視点で考える
2. ペインを解決し、ゲインを提供する方法(提供価値)は広い視点で考える
3. 顧客の課題と提案する価値が論理的にかみ合っていること:CPF = カスタマー・プロブレム・フィット
4. 深掘りのための検証をする(情報サーチ、顧客像に近い人へのヒアリングなど)
5. 自社の強み・特徴への視点も忘れない
6. 市場の状況・競合の視点も加味して精度を上げる


バリュープロボジションキャンパスを活用する際は上記のポイントを考慮し、ビジネスモデルを構築していくことが重要だと宇津木氏は強調します。

【なぜ収益が生まれるのか?】収益モデルの設計

ビジネスモデルの土台が固まると次に、なぜそのビジネスが利益を生み出すのかを明確にすることが不可欠です。
以下の3つの視点を持ち、検討を行います。

  1. 誰が:ターゲットとなる顧客層は誰か?
  2. どのように:商品やサービスをどのように提供し、価値を伝えるか?
  3. いくらで:提供する価値に見合う価格はどのように設定するか?

これらの視点を組み合わせ、顧客にとって納得感のある価格で提供し、かつ自社にとっても収益性の高い仕組みを設計することが求められます。

【3W1HのHow】どのように提供価値を実現するか?

どのように提供価値を商品・サービスとして届けていくかを具現化するHow(どのように)。
前述のバリュープロボジションを用いて提供価値を整理した後に考えるべきステップとして、以下の点を紹介いただきました。

  1. 価値の実現方法:どのようなプロダクトやサービスを開発し、どう構築するのか?

必要なもの、資材、リソース(人材・技術など)は何か?

  1. 流通・チャネルの設計:どのように顧客に届けるか?

提供方法やチャネルを設計し、顧客にとって最適な手段を選定します(オンライン販売、店舗販売、サブスクリプションなど)。

  1. マーケティング戦略:顧客との接点をどのように持ち、どのように訴求するか?

顧客に商品・サービスの価値をどう伝えるか(広告、PR、SNS活用など)。

強く・持続するビジネスモデルに必要なこと

事業を継続するためには「強く」「持続する」ビジネスモデルが必要。
そのようなビジネスモデルを築くには、大きく以下3つの要素が重要になってくるそう。

有用性(顧客視点でのニーズ把握):
顧客のニーズや欲求を正確に捉え、そのニーズに基づいた価値提供ができること。

実現可能性(強み・体制・資金):
自社のリソースや強みを活かし、実現可能な方法でビジネスを展開できること。

持続可能性(継続・成長に必要な売上・利益):
事業を長期的に成長させ、利益を生み出し続けられる収益モデルを確立すること。

個人ワーク:バリュープロポジションキャンバスを用いた実践

セミナーでは学んだ理論を自身の事業に活用するべく、参加者が自らのビジネスアイデアを検討する個人ワークも行いました。
バリュープロポジションキャンバスを使い顧客像と提供する価値を考え、どのように対価を得るのかまで落とし込み、最後にグループ内で共有しました。

まとめ:今回のセミナーのポイント

ビジネスモデルの土台は、顧客像の理解と顧客に対してどのような価値を提供するかで形成されます。
ビジネスモデルはルービックキューブの面にも例えられることがありますが、1つの要素が変わればその他の要素が変わります。土台をもとに、各要素を論理的かつ現実的に設計し、必要に応じて見直しや改善を行いましょう。

・顧客像、顧客に対しての提供価値がビジネスモデルの土台
・自社の客観的な評価視点を持つ
・最適・必然なロジックのある構造であること
・必要に応じて見直す、ブラッシュアップする
   +
・熱意が大事!

参加者からの感想

参加者からは、

「自分が思い描いている事業がなかなかまとまらなかったが、言語化することで少し方向性が見えた。」
「改めて自分のビジネスモデルを考え、見直すいい機会となった。」

という嬉しい声もありました。

最後は参加者でEDONOWAの「輪」のポーズで記念撮影をし、終了しました。

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